地球環境への影響とフロンガスの規制動向

1970年代に、フロンガスがオゾン層破壊をもたらす物質であることがわかるようになり、1985年のウィーン条約や1987年のモントリオール議定書にて特定フロン(CFC)の製造及び輸入が禁止されるようになり、以降は特定フロンの代わりとして代替のフロン(HCFC*やHFC)が使用されるようになりました。
* CFCからの転換を進めていた当時はHCFCを代替フロンと呼ばれていたが、転換が終了している近年ではHCFCを特定フロン、HFCを代替フロンと呼んいる
さらにその後、モントリオール議定書が改訂され、先進国では1996年までにCFCを全廃(開発途上国は2015年まで)、HCFCも先進国は2020年までに全廃(開発途上国は原則として2030年まで)することが求められました。
また、近年では代替フロンも温室効果ガスとして問題になってきており、京都議定書にてHFCの削減目標が定められています。
このように現在では、地球環境の保護のために、フロンガスの使用には規制がかけられつつあります。

フロン排出抑制法について(使用者向け概要)

オゾン層保護および地球温暖化対策を目的とした、使用フロンの転換による特定フロンの削減、および使用機器の保全管理とフロン漏洩防止と漏洩量報告、ならびに機器廃棄・整備時に発生したフロンの回収と破壊処理の厳格化を行うものです。(平成27年4月施行)
管理者(機器の使用者)に対しては大きく以下の項目が関係します

1. 特定フロンの削減

オゾン層保護法(1988年)に基づき、特定フロンの製造・輸入に関する規制を行っています。
CFCは2005年までに生産及び消費 ともに全廃、HCFCについても2020年に全廃(2019年生産禁止)の予定です。
ただし、HCFCの使用中止を求めるものではあり ませんので、2020年度以降もHCFC機器を使用し続けることは可能です(補充はできなくなります)。

2. 使用機器の点検およびフロン排出量の測定

全ての第一種特定製品について以下の点検およびフロンの漏洩・排出量の管理を義務図けられます
・簡易点検:3か月に1回以上
・定期点検:1年に1回以上(圧縮機の定格出力が7.5kW以上の冷凍製造機器および50kW以上の空調機器)
3年に1回以上(圧縮機の定格出力が7.5kW以上50kW未満の空調機器)
・フロン漏洩量を管理し、一定以上の漏洩を生じさせた場合は国に報告する

3. フロンの回収と破壊処理の厳格化

・第一種特定製品の整備時おけるフロンの充填・回収時には充填回収業者から「充填・回収証明書」の交付を受ける
・第一種特定製品の廃棄時おけるフロンの回収時には充填回収業者から「引取り証明書」の交付を受ける
・回収フロンを再生・破壊した再生業者・破壊業者は「再生証明書」「破壊証明書」を交付する
*第一種特定製品のフロンの充塡・回収は都道府県知事の登録を受けた「第一種フロン類 充塡回収業者」が行わなければなりません
*フロン類の再生業・廃棄業を行う事業者は、それぞれ「第一種フロン類再生業者」、「フロ ン類破壊業者」として、国(環境大臣及び経済産業大臣)の許可を得る必要があります

現在ご使用の冷媒ガスは大丈夫ですか?

2020年フロン規制への対応はお済でしょうか?現在ご使用の冷凍機器が使えなくなるかもしれません!

フロン排出抑制法により2020年からHCFC(R22冷媒)は完全に生産が禁止されます

オゾン層保護および地球温暖化対策を目的としたフロン排出抑制法が2015年4月に施行され、2020年以降はHCFC(R22)の生産が禁止になります。
もし、 HCFC(R22冷媒)フロンの冷凍機器をご使用の場合、2020年以降、冷媒の充填が出来なくなります。

冷凍機器を今すぐ交換しなければいけないのか

HCFC(R22冷媒)フロン冷凍機器の使用を禁止されたわけではありませんので、そのままご使用できます。
ただし、2020年以降はHCFC(R22)の生産が禁止され、冷媒ガスの交換や補充はできなくなります。
最も懸念されるのは、ガス漏洩による冷凍能力の低下や機器故障時のガス回収にも対応できなくなり、急遽、更新資金が必要になったり、機器納品および設備工事中の生産停止が発生するなど大きな影響を生じる可能性があります。

今すぐ冷媒ガスを確認し更新計画を立てましょう

1.まずは、規制対象となる冷媒ガスを使用している冷凍機器のリストを作成し把握しましょう
2.総体的な更新費用を把握し計画的に予算を計上しましょう
3.生産に影響しないよう更新スケジュールを組みましょう。